行き倒れ
行き倒れ(ゆきだおれ)は、旅行中や移動中に病気・飢餓・疲労などによって路上で死亡すること、またはその死者を指す。
概要
近世以前の旅路は過酷であり、身元不明のまま街道や峠で命を落とす者が絶えなかった。これらの死者は本籍地や親族から切り離され、行き倒れた地点の村落によって処理された。
民俗と信仰
旅先で客死した者の霊魂は、適切な引導や祭祀を受けられない無縁仏となり、怨霊や浮遊霊と化してその場を通過する生人に祟りをなすと恐れられた。道端の ヒダル神 や路傍の怪異は、こうした行き倒れの死霊信仰と強く結びついている。
共同体は悪霊化した死者の祟りを防ぐため、遺骸が発見された街道沿いや集落の境界(辻)に供養塔、無縁塚、地蔵菩薩などを建立して手厚く祀った。これが後に 道祖神 や 客人神 の一部へと転化・習合していった事例も多い。